第九章 運命の渦巻

第5話 1/2/3

ジオバンニの後ろから誰かが前に歩きでながら話している。一人は異種族の女性で、もう一人はフロイオン・アルコンだった。

グベルマンはあまりにもびっくりして手に持っていた娘の肖像画を落としてしまった。フロイオンはグベルマンについてきて、落ちているアンジェリーナの肖像画を拾った。

「この肖像画、まだ持っていましたか」

「ふ…フロイオン…フロイオン…」

グベルマンはわめき声のようにフロイオンの名前を呼びながら、息子を抱きしめた。

「はい、お爺さん。フロイオン・アルコンが帰ってきました。ご心配をおかけいたしまして、申し訳ございません」

フロイオンはグベルマンの手にアンジェリーナの肖像画を渡してあげた。グベルマンの目からは涙が流れていた。

「わしは王宮からお前が死んだという話を聞いた…生きて帰ってくるとは…神様はまだわれわれを見捨ててはいないんだ…」

「いいえ…神様は私たちを見捨てています。私の命を救ってくれたのは異種族の人々でした。後で詳しく話しをします。その前に紹介したい人がいます」

フロイオンはジオバンニの隣に立っているライを紹介した。

「私を護衛することになりました。同時にジャドル・ラフドモンが私を殺害しようとしたことを証言してくれる人でもあります」

「ジャドル・ラフドモンがお前を殺そうとしたと?」

ジオバンニの驚いた声が部屋中に広まった。フロイオンは頷いた。

「ジャドル・ラフドモンが私を殺そうとしたことは国王の意思だと思います」

「そんな…どうすればいいんだ…」


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