第九章 運命の渦巻
第6話 1/2/3 「私は権威よりも、皆のことを考えられる者が国王になるべきだと考えている。 最後の試練はそれを試す為のものである」 バハドゥルは理解し難いといった表情だった。 今行われている最後の試練は、ある場所からここへいちはやくたどり着くというものであった。 最後の試練の内容を聞かされたときには驚きを隠せなかった。 そのような単純な試練で国王を決めることが理解できなかった為である。 「君も他の者達と同じように、最後の試練の意味を理解できないであろう」 「陛下…私は…」 「理解できないのも無理もない。 しかし、その試練にこそ素晴らしい国王を見定めるための重要な意味が隠されているのだ。」 その時、警備兵が一人走ってきた。 「陛下!最後の試練の結果が出たそうです。」 椅子に座っていたペルディナントが立ち上がった。 「誰だ?」 「ドビアン様が先に到着いたしました。」 ペルディナントはドビアンが先に到着したことは気にもせず警備兵に聞いた。 「キッシュが遅れた理由を知っているか?」 「監督官の話では、途中で道端に倒れている子供を見つけ その子供を医師に診せるために遅れたとのことです。」 バハドゥルは舌打ちをしながら思った。 ‘キッシュは運が悪いな。結局ドビアンが次の国王になるのか…’ ・次の節に進む ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |