第九章 運命の渦巻

第8話 1/2/3

「退けって言っただろう!さっさと避けずに何をぐずぐずしているんだ!何考えているんだ、お前!」

ナトゥーは痛みを抑えながら、体を起こし座った。
地面に座り込んでいるナトゥーに向かって怒鳴っていたクレムは、自分のライノとぶつかった人物がナトゥーだと気が付き、あいた口がふさがらずに固まっていた。

「ナトゥー…?」

「相変わらずだな。クレム、ライノのスピード、出しすぎだと言っただろう?
いつかは大きな事故になると、何度も言っただろう。もう忘れたのか?」

「ナトゥー!!」

クレムは驚いてナトゥーに近づき、肩を握り締めた。

「ナトゥー!本当か!本当に生きていたか!」

「そうだ。お前の親友ナトゥーだよ。何でそんなに驚くのさ?まるで幽霊にでも出会った顔じゃないか」

「本当にお前か?今までいったい何処に逃げていたんだ?」

「逃げた?誰がだよ!何故逃げるんだ?」

もしかして自分が地下監獄から脱獄した事について既に知っているのかと思い驚いた。

「イグニスに使節だと騙して潜入し、ダークエルフの国王を暗殺しようとしたと聞いたぞ!」

「何だと?」

「しかし、失敗して逃げ出したと聞いていたぞ!」

「いったいどういうことだ?もっと詳しく言ってみろ」

クレムはいきなりナトゥーをつれて走りだした。
道からずいぶん離れてからクレムは足を止め、息を整えた。

「何故ここまで?」


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