第九章 運命の渦巻
第9話 1/2/3 ランベックに派遣された傭兵の代表、メッツが去った後、 大長老は部屋中を行ったり来たりしながら考えをまとめた。 ベロベロ長老がモントの地下監獄に幽閉され、結局死刑されたことが明らかになってから開かれた情報収集委員会で、情報収集家たちと長老達はダークエルフと戦争することに全員賛成した。 誰かと戦うことを何より嫌うハーフリングたちだが、ダークエルフの残忍な悪行には怒りを抑えず、大きな決断を下したのだ。 兵士の育成に力を注いでないハーフリングたちが、いきなりダークエルフの相手になるはずもない。 そのためハーフエルフの力を必要としているのだが、傭兵が突然カイノンに戻るとの通告がきたのだ。 「大長老!」 勢いよくドアが開き、警備兵1人が息を喘ぎながら、飛び込んできた。 「何だ?」 「大変です!プリアの町に異常事態です! 街の住民及び、ダークエルフを捕らえる為に派遣した部隊が 全滅しました!」 「いったい何が起こったのか?全員が死んだと?」 「一部生き残った住民の話によると、突然、目に映るもの全てが敵に見え、生き残るために必死で闘ったそうです。」 「一体どうして…」 大長老はゆらゆら震えながら、椅子に座りこんだ。 「大長老!大丈夫ですか?」 崩れる大長老に驚いた警備兵が大長老を支えた。 「は…早く…情報収集委員会と長老に連絡を。緊急会議だ。急げ!」 「は、はい!」 警備兵が緊急会議を知らせるために部屋を出てから、約1時間後に情報収集家たちと長老が集まった。 大長老は顔色が真っ白になったまま、ハーフエルフ達の撤収とプリアの町での悲報を述べた。 全員が驚いた。 「ダークエルフに宣戦布告をするのは後にするべきですね。まずはプリアの町の災いを解決しなければ…」 ・次の節に進む ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |