第九章 運命の渦巻
第13話 1/2/3/4 ルブリック・アインリヒ公爵が話し始めた。 「今現在一番大きな壁は国王の兵士たちだと思います。 ゴットシャルク将軍は長い間フロイオン・アルコンの支援者であったと思いますが、 大将軍のロブション・クレジオ公爵は、カノス・リオナンの親友です。 兵力のほとんどを握っているロブションを倒して、カノス・リオナンを王位から失脚させるためにはかなりの犠牲が必要になると思います。」 「イグニス内の兵力を分散させることが最優先ですね。」 「アルコンさんのおっしゃる通りです。」 「話してもよろしいですか?」 優しい、しかしはっきりした女性の声が聞こえてきて、フロイオンは振り向いてみた。 声の主人公は、ドミニク・エリアル伯爵の娘、ジュリエット・エリアルであった。 「話してください。」 「国王の兵力を分散するという話が出ましたが、一つの方法としては確実に勝つ戦争をすることです。」 「勝つ戦争ですか…相手は誰になりますか? また名分には何を掲げて国王を説得するべきでしょうか?」 「国王が無実の罪で地下監獄に閉じ込めた者が、また一人います。 噂によると、ベロベロというハーフリングで宝石細工の専門家だそうです。 ジャドル・ラフドモンからの注文で納品のため完成品を持ってきましたが、地下監獄に閉じ込められたそうです。 しかし、国王はリマにはベロベロというハーフリングがイグニスに向かう途中で モンスターに教われてしまったと、嘘を伝えました。 ハーフリングたちは信じているそうですが、実は彼はつい最近まで地下監獄に生きていました。 そして、先日斬首されたそうです。 この事実が伝わると、トラブルが嫌いなハーフリングでも戦争を仕掛けてくるでしょう。 その時、私達が先にリマに向かえば、国王の兵力は分散されると思います。」 「待ってください。ハーフリングが宣戦布告をしたのに、我々がリマに向かうのですか?」 フロイオンの質問に、ジュリエットが落ち着いて答えた。 ・次の節に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |