第九章 運命の渦巻
第5話 1/2/3 グベルマンは絶望そうな顔で嘆いた。フロイオンはグベルマンの手を握りながら話を続けた。 「イグニスに帰る前に心を決めました。私は母親のようにただやられることだけは、決してしないつもりです」 「どうするつもりかい?」 「カオス・リオナンを王座から降ろします。そして私が国王になります」 フロイオンの話に一瞬唖然としてしまった。 「フロイオン…」 「子供の頃…母親があいつを引きずりながら話した言葉があります。 ‘生き残ろう’でした。やがて私は分かったのです。私が生き残るためにはいつまで避けても終わらないこと。敵に立ち向かうべきだということです」 「その通りだ」 ジオバンニがフロイオンの肩を握りながら話した。 「私はずっと待っていた。力になれることがあったら、何でもいってくれ」 「叔父さん、ありがとうございます」 「ジオバンニ…フロイオン…お前たちは知らない。彼らの残酷さと力が…なぜ火に飛び込む虫になろうとするのか…わしはもうたくさんだ。これ以上誰一人も失いたくないんだ。どうか考えなおしてくれ」 泣き声で息子と孫を説得しようとしてみるが、フロイオンは握った手にもっと力を入れながら話した。 「カノス・リオナンは恐ろしい政治で、すでにたくさんの敵を作っています。私たちには出来ます。そして…私はもう避けることができません。もうたくさん傷ついてきました」 グベルマンはフロイオンの顔から、ロシュ・リオナンの愛をあきらめることができないと言っていた、娘の昔の顔を見た。 今フロイオンの目は、何の恐れもなく自分を見つめている娘の目と同じだ。フロイオンの決心が固いことが十分分かった彼はそれ以上反対することが出来なかった。 「フロックス神がいつも共にありますように…いい国王になってくれ、フロイオン。アンジェリーナがお前を見守っていることを忘れるな」 「はい」 フロイオンはジオバンニの顔を見ながら話した。 フロイオンは顔を上げてジオバンニを見つめながら話した。 「まずカノス・リオナンに背を向けた貴族たちを味方にする必要があります。王宮ではまだ私が生き返ったことを知りません。秘密裏に味方になれる貴族を集めるためには 叔父さんの力が必要です」 「分かった。だれか思いついた人でもいるのか?」 「ゴット・シャルク将軍にあってください」 ・次の話に進む ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |