第九章 運命の渦巻
第13話 1/2/3/4 「ハーフリングは、エルフやヒューマンに親密感を持っています。 宣戦布告をする前に、ヒューマンやエルフに支援を要請すると思います。 ハーフリングが宣戦布告をし、イグニスに来ることをただ待っていたら、カノス・リオナン国王を落とすより先に、イグニス全体が危なくなります。 私達が先にリマに行き、兵力が分散されたところでカノス・リオナンを王位から降ろしフロイオン・アルコンさんが国王になるのです。 それからリマに謝罪を伝えれば、ハーフリングたちも納得すると思います。 私達が望んでいるのは、カノス・リオナンの兵力を分散することで、ハーフリングたちが望んでいるのは、ベロベロの死についての謝罪だと思います。 ハーフリングが望むなら、カノス・リオナンをリマに送り、彼らが望む通りに処罰されるようにすることも出来るでしょう。」 ジュリエットの計画にフロイオンは感心した。 ジュリエットのいうとおりになれば、大きな犠牲なく、カノス・リオナンを王位から失脚させることが出来るだろう。 「しかし、ハーフリングたちにベロベロの話をどうやって伝えますか?」 ゴックシャルクが聞くと、ジュリエットが答えた。 「ゴックシャルク将軍の役割が大事になります。 ハーフリングたちが宣戦布告をしたら、即時にリマを攻撃するように国王を説得する必要があります。」 「ご心配なく。カノス・リオナンは欲張りです。 いつもリマの資源を狙っていましたので、リマを攻撃することを話せば、簡単に同意すると思います。」 みんな満足する表情になった。 フロイオンは執事が持ってきたワイングラスを持ち上げ、皆に乾杯を求めた。 「皆の努力が報われるように… 新しいイグニスの誕生の為に、みんなで乾杯しましょう。乾杯!」 みんなグラスを高く掲げ、乾杯を叫んだ。 グラスの中のワインが少し揺れた。 一瞬で飲み干したフロイオンは、ジュリエットを見ながら小さい声でつぶやいた。 「…美しいあなたにも…乾杯」 ・次の章に進む ・前の節に戻る ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |