運命の分かれ道
第6話 1/2/3 目の前でジュリエットの死を目撃した後、ショックで倒れたフロイオンの意識は何日も戻らず、命に関わる状態になっていた。フロイオンの家族は介護に最善を尽くしたが、フロイオンの意識は戻らなかった。 1ヶ月後、ようやく意識が戻ったが、以前の陽気さが無くなっていた。 一日中ジュリエットが亡くなった部屋のバルコニーに立ち、彼女の灰が入っている袋を握ったままぼっと窓の外を見るだけだった。 ただその毎日を繰り返すだけだった。 「フロイオンは少しずつ死に近づいている。」 バルコニーに座っているフロイオンを見ていたグベルマンがジオバンニに話をした。 「子供の頃目の前で自分の母親が兵士に逮捕される場面を目撃した時も同じだったな。 ある日突然家を出て何日か経った後戻ってこなかったが、戻った時には普通に戻っていた… 今回はそのまま死んでしまいそうな予感がする」 「どうにかしなくちゃ…かわいそうなアンジェリーナのためにも、フロイオンを死なせるわけにはいけません」 「わしの力では無理だ…今誰が声をかけても聞こえないだろう…」 深いため息を吐きながらグベルマンがつぶやいた。 「私が…フロイオン・アルコン様と話をしてみても大丈夫ですか?」 いきなり声を聞こえてきて二人が振り向いたら、ジュリエットの父親である、ドミニク・エリアル伯爵が立っていた。 「いらっしゃいましたか。エリアル伯爵。娘さんの事は非常に残念でございます」 エリアル伯爵は首を横に振りながら話をした。 「死んだ人は苦しみがないです。苦しむのはフロイオン・アルコン様のように残っている人々でしょう。」 「フロイオンに会いにきましたら、私たちは席をはずします。 どうか伯爵の話で少しでもフロイオンが元の姿を取り戻して欲しいですね」 ・次の節に進む ・次の話に進む ・前の話に戻る ・前の章に戻る ・目次へ戻る |