HOME > コミュニティ > 小説
第十章 狂気を運ぶ暴雨 第4話 10.06.30




「ヘルラックはクラウト・デル・ラゴスの参謀でした。

兄を暗殺し、3代国王になったクラウト・デル・ラゴスが、先王の王妃に追出された後にも

ヘルラックはクラウト・デル・ラゴスと一緒でした。

それが唯一、世の中に知られている事です。

しかし、今日私が見たのは、想像も出来ないものでした」

 

緊張したため喉が渇いたのか、ジフリトはお茶の飲んだ後、話を続けた。

 

「クラウト・デル・ラゴスが謀反を起こす前から、ヘルラックは予言を話していたそうです。

今はヘルラックが予言者だったことについて知っている人はあまりいませんが、当時は有名だったそうです。

有名な予言者だったヘルラックがクラウトと出会ってから、彼の参謀になったそうです。

ヘルラックは、主神オンを信じていたそうですが、自分の予言能力は主神オンから授けられたと

言っていたそうです」

 

「主神オンから授けられたと?」

 

トリアンは信じられない表情だった。

 

「はい、真実は分かりませんが、ヘルラックが話した言葉が記録に残っていました。

とにかくヘルラックは多くのことを予言しましたが、予言の内容については記録が残っていないため、

詳しくは分かりません。ただ、ヘルラックが残した3大予言というものがあります。

主神オンの消滅・神々の裏切り・8英雄の誕生です」

 

「なぜ…なぜ聖騎士団と大神殿はその事実を隠していましたか?」

 

エドウィンの声は激しく震えていた。

思いもしなかった事実の衝撃も大きかったが、

グラット要塞のことについて自分が話した内容を一切信頼してくれなかった、

大神殿と聖騎士への裏切りの気持ちも強かった。

 

「エドウィン、お前が怒るのも分かる。

しかし、このような事実が一般に広がると、混沌の時代が来るだけだ。

一日で一つの国を滅ぼす方法が分かるか?

強大なモンスター?他国からの攻撃?違う。それは人々の絶望だ。

希望を無くし、絶望に陥ったら、全てが崩れてしまう。

だから、隠しているのだ。

また…多分彼らは…お前が話したグラット要塞のことがあまりにも衝撃的だったので、

信じたくなかったのだろうと思う。あまりにも恐ろしい事実じゃないか…」

 

「信じられない!ヘルラックの3大予言について知っている人々が、

グラット要塞のことについて信じたくなかったと?恐ろしいから?そのくらいは予想していたはずではないのか?」

 

ジフリトはため息をはいてエドウィンの目を見ながら話を続けた。

 

「彼らは…ヘルラックの3大予言について知らない」

 

「何だって?」

 

「ヘルラックの3大予言についての記録が閲覧できるのは大神官を10年以上勤めたものだけだ。

実際読んだ者も3名しかいない。国王陛下、大神官、そして俺」

 

「何?」

 

「シュタウヘン伯爵とのことがあってから俺もすごく悩んだ。

バルタソン家の長男として、家門を守る為にお前に真実を忘れるように話をすべきかどうか…

司祭としても真実を隠すことが正しことか…

また俺はただ家門を守るといいながら、家族を縛りつけているのではいか…

ようやっと心を決めたのだ。俺がやることは、家族が困る状況に陥った時、困難を共にすることだと・・・」

 

「兄上…」

 

「エドウィン。これからお前が正しいと信じている道を進め。

俺はいつもお前のそばにいる」

 

二人はお互いの手を握りあった。二人の目元は赤くなっていた。

二人の姿を見ながら、トリアンは静かに微笑んだ。

その時、いきなりドアをたたく音がした。

返答する間もなく、一人の聖騎士が走りこんできた。

 

「エドウィン・バルタソン!聖騎士団と国王陛下の命令だ!」

 

エドウィンは聖騎士の前に膝ついた。

 

「エドウィン・バルタソンは聖騎士団と国王陛下の命令を従う準備が出来ています」

 

「現在アルマナ荘園がオークから攻撃されている。

そなたは即刻アルマナ荘園に向かい、荘園を守るよう命じる!」

 

   

第10章5話もお楽しみに!
[NEXT]
第十章 狂気を運ぶ雨 第5話
[BACK]
第十章 狂気を運ぶ暴雨 第3話
 :統合前のニックネーム