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第十一章 運命の分かれ道 第2話 10.09.08

 

フロイオンがジュリエットに告白した後、二人はもっと深い関係になった。

フロイオンは彼女の為にも必ず国王になると決心したが、状況は甘くはなかった。

エルフとの戦争でリマ地域にいたハーフエルフの傭兵が全員カイノンに戻り、

ハーフリングの街の中で、住民たちがお互いを殺害する残悪な事件が起こり

ハーフリングはダークエルフに戦争宣布することを延期してしまった。

ある程度事件が収まり、ハーフリングたちがヒューマンと協約し

ダークエルフとの戦争を準備している様子だったが、

ヒューマンとエルフの交流都市であるアルマナ荘園がオークたちに襲われてしまい

ハーフリングはヒューマンの力を借りることが出来なくなった。

時間はながれ、支持者たちの集まりもだんだんその熱気が冷めていた。

フロイオンは焦りがちになり、ジュリエットはそんなフロイオンを慰めてあげた。

そのある日、少し顔が赤くなったジュリエットが邸宅にやってきた。

彼女は幸せそうな笑顔でフロイオンの胸に走ってきた。

 

「いいニュースがあります」

 

「どんな?」

 

「当ててみてください。ただ教えてあげるのは面白くないでしょう?」

 

ジュリエットを抱いたままフロイオンは何かを考えてみる様子だったが、よく分からないといった顔で首を横に振った。

 

「ダメです。考えてみてください。このまま諦めてしまうとがっかりする人が二人もいますよ」

 

「まさか…」

 

フロイオンが驚いた顔でジュリエットの顔を見つめた。ジュリエットは優しい笑顔でフロイオンの耳にささやいた。

 

「私…あなたの子供ができました」

 

フロイオンはあいた口がふさがらない様子で何もいえなかった。

複雑な感情が漂った顔でフロイオンはジュリエットの頬にキスした。

変な様子に気がついたジュリエットが聞いた。

 

「何…?嬉しくないですか?あなた、お父さんになるのよ」

 

「あ…嬉しい。嬉しくて心臓が止まりそう。しかし…」

 

ジュリエットはフロイオンの瞳を見つめながら、次の話を待っていた。

 

「しかし…あなたも知っている通り、俺は庶子だ。今国王になる為に謀反を準備している…

もしかして失敗するとこの子はまた…」

 

「何馬鹿なことを…」

 

フロイオンの額にキスしたジュリエットはフロイオンの首に手を回しながら話した。

 

「あなたは必ず成功します。そして、たとえ謀反が起こらず、あなたが庶子だとしても

それは重要なことではありません。あなたはこの子を愛する馬鹿親になるのですから。
何事も始める前から怯えちゃだめですよ」

 

「ジュリエット…」

 

フロイオンはジュリエットを抱きしめた。そのとき、いきなり兵士たちが部屋に入ってきた。

一人がジュリエットに指差しながら大きな声で支持をだした。

 

「ジュリエット・アリエル!偽りの宗教をつくり国民を誘惑した罪で逮捕する!逮捕しろ!」

 

いきなり兵士たちが迫ってきてジュリエットを引き出した。

フロイオンはジュリエットを庇いながら、大きな声で叫んだ。

 

「何の話だ!偽りの宗教を作っただなんて!そんなはずがない!彼女を放せ!」

 

「証拠が見つかりました。フロイオン・アルコン様」

 

いきなり聞こえてくる細い声にフロイオンの動きが止まった。

 

「お前は…!」

 

「お久しぶりですわね。フロイオン・アルコン様」

 

派手な服装のジャドル・ラフドモンが兵士たちの中から優雅なる身振りで歩き出た。

 

「なぜ、ジュリエットにない罪を問うのか!」

 

「はあ…なぜそんなことを…彼女の部屋からラウケ神団という偽りの宗教の本が見つかりました。

また、周りの人々に宗教の教えを伝えようとする姿も目撃されました」

 

「ラウケ神団は偽者ではありません!」

 

兵士に捕まえられた体を振りながらジュリエットが叫んだ。

 

「あら、ジュリエット・アリエル様…ご存知ではありませんでしたか?

私たちは火の神、フロックス様を信じています。私たちを創造したフロックス様が

私たちを全滅させようとしていると主張しているラウケ神団はどう見ても偽者にしか見えません」

 

「彼女を放せ!魔女め!」

 

ジャドル・ラフドモンは腰につけていた自分の杖を取り出して話し始めた。

 

「あら、酷いわ。魔女とは…でもしょうがないことです。偽りの宗教で国民を翻弄した罪は

想像より重い罪でございます。国王陛下はジュリエット・アリエルの罪はあまりにも重大な罪である為、

捕まえたら即時処罰するように命令しました」

 

「やめろ!」

 

まるでフロイオンの叫びが聞こえないように、

ジャドル・ラフドモンはジュリエット・アリエルに向かって杖を振るった。

巨大な炎が起こりだして、ジュリエットは一瞬で燃え上がった。

悲鳴を上げる暇もなく、ジュリエットは灰になってしまった。

 

「さあ、帰ろう」

 

灰になったジュリエットを抱きしめて叫び挙げるフロイオンを後にし、

ジャドルは兵士たちとゆっくりとその場を去っていた。

 

「うあああああ!」

 

フロイオンの悲しい声がイグニスの空に響きわたった。

 

第11章3話-1もお楽しみに!
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